企業では、新たな人材に入社してもらうために、採用活動を行いますが、昨今採用マーケティングという手法に注目が集まっています。採用マーケティングとは、その名の通り、採用活動にマーケティングの手法をとりいれたものです。こちらの記事では、採用マーケティングとはどのようなものなのか、採用マーケティングが企業から注目されている理由、採用活動に採用マーケティングをとりいれるメリットについて解説します。採用活動がなかなかうまくいかないという企業の方は、ぜひチェックしてみてください。

企業が注目する採用マーケティングとは

まずは、採用マーケティングとはどのようなものなのか、詳しく確認してみましょう。採用活動が従来通りではうまく進まない、という企業の方が、特に注目している考え方です。

採用活動にマーケティング手法をとりいれたもの

採用マーケティングとは、その名の通り採用活動にマーケティングの手法をとりいれたものです。マーケティングとは、自社の強みや弱みを分析し、顧客のターゲット層を定め、ターゲットに自社を知ってもらうように適切に広告を出すなど戦略的に行動することをいいます。戦略的に進めて、自社のことを好きになってもらうのがマーケティングの意義です。

採用マーケティングは、採用活動にこのマーケティングの考え方をとりいれます。マーケティングの概念で採用活動を進めることで、効果的に優秀な人材を得ることができる可能性が高まるのです。

求職者に認知され内定が決まるまでのプロセスがファネル

採用マーケティングの考え方では、求職者がその企業のことを知り、応募し、最終的に内定承諾するというところまでのプロセスがファネルと捉えられます。ファネルというのもマーケティング用語の1つで、一般的には商品などを購買する過程をフェーズごとに分けてモデル化したものです。ファネルとは、広く集客し、そこからふるいにかけられ、最終的に購入者が残る消費者の購入意識の移り変わりが図に表されています。

採用マーケティングでのファネルは、具体的にいうと、応募者が企業を認知し、興味や関心をもち、実際に選考に応募し、最終的に内定を承諾する、という4つのフェーズに分けられています。企業を認知する段階ではターゲットに広く周知しますが、最終的に内定承諾する段階ではふるいにかけられ人数が少なくなるということが表されているのです。

プロセスに合わせて、ファネルとチャネルを組み合わせる

採用マーケティングは、上記の通り4つのプロセスで進められることがわかりました。各プロセスにおいて、チャネルを適切に組み合わせることが、とても重要です。

例えば、認知の段階では、求人媒体に掲載したり採用イベントに参加したりして、広いターゲットに知ってもらうことを目的として行動します。そこで興味や関心を持ってくれた方には、自社のHPやSNSなどを使って、さらに興味を深めてもらえるような動きを実施します。

実際に応募し選考に進んでくれた人には、面接やスカウトメールを用いて、採用に向けて進めていき、最終的に内定が決まったら座談会や交流会をし、お互いに理解を深めていくというような流れです。

ファネルとチャネルの組み合わせがとても大切で、フェーズに合わないチャネルを組み合わせてしまうと、効率的に採用活動が進められません。これらを戦略的に行うことが、採用マーケティングの醍醐味です。

採用マーケティングが企業から注目される理由

採用マーケティングが、今企業から注目されるようになったのはなぜなのかを解説します。現状注目していなかった企業も、これらの理由を知れば、興味が湧いてくるかもしれません。

人材不足で採用活動が激化しているため

日本では少子高齢化社会がどんどん進み、それにより深刻な人材不足も進んでいます。人材が不足しているということは、企業間で優秀な人材を取り合いになるということです。より良い人材を自社が得るためには、他社よりも効率的で効果的な採用活動を行う必要があります。そのため、採用活動にマーケティングの手法を取り入れて、効果を高めることに注目する企業が増えているのです。

デジタルマーケティングが進んだため

昔に比べて、パソコンやスマートフォンなどデジタル機器が普及し、人々は検索したりSNSで見たり、口コミサイトをチェックしたりと、幅広い情報を容易に得ることができるようになりました。インターネットから情報を得ることができるようになった顧客に対して行うマーケティング手法を、デジタルマーケティングと言います。

採用活動においても、インターネットで情報を流したり、求職者の行動促進をインターネットから促したりする必要が強まっているのも、採用マーケティングが注目されるようになった1つの理由です。

採用手法が多岐にわたってきたため

売り手市場の昨今、採用手法が多岐にわたっているということも採用マーケティングに注目が集まっている理由といえます。これまでの採用活動の基本は、求人広告を出したり人材紹介会社から紹介してもらったりするものでしたが、さらにSNSやオウンドメディアを活用するような新たな採用手法も増加しました。

これらの採用手法をうまく使いこなすためにも、採用マーケティングを上手にとりいれることが重要だと考えられています。

採用マーケティングをとりいれる企業のメリット

最後に、企業が採用マーケティングをとりいれた場合、どのようなメリットが受けられるのかを見ていきましょう。

自社とマッチした、優秀な人材に応募してもらいやすくなる

採用マーケティングでは、企業が求める人材をしっかりと定めて、そのターゲットに合わせた職場環境の整備や求人情報の発信を行います。そのため、求める人材と出会いやすくなり、応募を増やすことにもつながります。

また、それぞれの企業にマッチした人材が応募してくることによって、選考中に事態する人が少なくなったり、内定を承諾してもらいやすくなったりすることも期待できるでしょう。

採用にかかるコストを減少させられる

採用マーケティングでは、企業の求めるターゲットをしっかりと定めてチャネルを準備するため、採用活動が効率よく進められる魅力があります。それにより、採用活動にかかるコストを抑えることも可能です。

例えば、認知の段階でさまざまな媒体を用いて求人広告を出している企業の場合は、ターゲットに合わせた媒体に絞って広告を選ぶことで、高額な広告費用を削減することができるでしょう。無駄なく、自社にぴったりな人材に訴求できるのが、採用マーケティングのメリットです。

潜在ターゲットに認知してもらいやすくなる

SNSや動画サイトなどで、自社の魅力的な部分を発信し続けることで、現在求職活動をしていない潜在ターゲットにも、知ってもらえる可能性が高まります。さらに、認知から興味を持ち、関心が高まったターゲットには、うまくチャネルを準備することで、応募のファネルに進めることもできるでしょう。このように、戦略的に採用マーケティングを使うことで、これまで響かなかった層の行動を変容させる可能性もあります。

まとめ

こちらの記事では、採用マーケティングの内容や注目が集まる理由、企業が採用マーケティングの手法をとりいれるメリットを詳しくまとめました。

採用活動に手応えを感じられていない企業の方は、ぜひ採用マーケティングの手法を学んで、効率よく採用活動を進めてみませんか。